金冠町略年表

  • ドロッセルマイヤー、『王子と鴉』執筆。
  • ドロッセルマイヤーが人々のために物語を書き、殺される。
  • ドロッセルマイヤー、死の間際に「死んでも物語を書き続ける男の物語」を書く。
  • 『王子と鴉』絶筆。物語から鴉が逃げ出し、王子が封印する。
  • 赤ん坊のるぅが鴉にさらわれる(封印された大鴉は既に「いた」。誰が読んだ物語?)。
  • 金冠町にカラスが大量発生する(理由は?)。
    • るぅが鴉に襲われる?
  • ふぁきあがカラスをやっつける物語を書く。
  • ふぁきあの両親がカラスに殺される。
  • ふぁきあ、カロンに引き取られる。
  • ふぁきあ、カロンに言い伝えを聞き、騎士の生まれ変わりと思い込む。
  • ふぁきあ、『王子と鴉』の本を読み、「物語の中の王子」に心酔する。
  • 「王子」の出現(ふぁきあが読んだから?)。「王子」は厚着。
    • 「王子」るぅと出会う?
    • 大鴉、「王子」の出現を知り、るぅをけしかける。
  • ふぁきあ、「王子」を拾う。カロンが「心臓をなくした王子、ミュートス」と発言。ふぁきあ、「王子」を「みゅうと」と命名
  • ふぁきあ、みゅうとを守ると誓う。
  • ふぁきあ、るぅ、みゅうと、金冠学園に入学する。
  • あひるの出現。

『王子と鴉』13話

    • プリンセスクレールが、物語を動かすことについて語る。

王子が心を取り戻すと言うことは、物語が再び動き出すと言うこと。王子とカラスの物語がね。すべては物語の定めに従って動き出した。騎士はいずれ二つに引き裂かれて死に、プリンセスチュチュは光の粒となって消え、王子には再び苦しい戦いの日々が訪れる。それが定められた筋書き。決められた運命。

『王子と鴉』12話

    • 偽みゅうとによる『王子と鴉』解説。

みゅうと:王子とカラスの話は知ってる?勇敢な王子が大鴉と戦うお話。王子には信頼していた騎士がいた。でもその騎士はカラスに一太刀も浴びせる事もできずに、カラスの爪で二つに引き裂かれてしまったのさ。王子を守るなんて口先だけの役立たず。だから王子はとても苦労をしたんだ。お話から飛び出した大鴉を一人で追って、一人で封印するしかなかった。自ら、禁断の力を使ってね。そう、王子は自分で自分の心臓を、取り出したのさ。

るぅ:プリンセスチュチュの事は知ってる?プリンセスチュチュはね、王子とカラスの中にほんの数行紹介されているだけ。お話の人物でさえ誰もなりたがらなかった惨めな存在。いつの間にかお話からも置きざられた取るに足らない存在。王子に振り向いてもらえるはずもない。ただの賑やかし。かわいそうね。

    • ふぁきあ、みゅうとに『王子と鴉』を読み聞かせたことを語る。

まだガキの頃、みゅうとに『王子と鴉』の話を読み聞かせてやったとき、あいつが一番興味を示したのは、自分のことでも大鴉のことでもなくて、ほんの少ししか書かれていないチュチュのことだったんだ。チュチュが光の粒になって消えてしまうっていうくだりを何度も何度も聞きたがった。心を取り戻したいって思うようになったのは、きっと返してくれるのがチュチュだからだ。

「ほんの数行紹介されているだけ」には、「チュチュが(愛を告げて)光の粒になって消えてしまうくだり」が書かれているのか。
プリンセスチュチュは『王子と鴉』のなかで「ふぁきあ:光の粒になって消えてしまう」のであれば、「クレール:いつの間にかお話からも置きざられた」というのはおかしい。《プリンセスチュチュ》のキャラクターは『王子と鴉』の中で完結しているはず。
プリンセスチュチュが心を返す」という設定は、『王子と鴉』《市販本》には書かれておらず、ドロッセルマイヤーの死後、王子と鴉が物語から飛び出し、鴉が封印され、王子も眠りについてからの「付け加えられたお話」(しかし、お話の中のプリンセスチュチュ自身は、『王子と鴉』の中で既に消え去っているので、何らかの形で復活しなければ存在しえないはず。)

あひる:でも、みゅうとは自分で心を取り出したって……。誰かを……小さくて弱いものを守る。それがみゅうとの一番の願いなんだ。そのためなら、自分のことなどかえりみない。心を失ってもそのことだけは忘れなかった。そういう奴なんだよ。

『王子と鴉』10話

ふぁきあ:剣はどこだ?
カロン:久々に帰ってきたというのに、挨拶もなしか。剣なら店にいくらでもある。
ふぁきあ:違う、あの剣だ。ローエングリンの剣だ。あれが必要なんだ。みゅうとを鴉から守らなければならない。
カロン:お前にはやれない。

騎士の剣はカロンの管理下にあり、ふぁきあが自由に持ち出すことができない。

ふぁきあ:なに?
カロン:あれは騎士が使うべき剣だ。
ふぁきあ:俺にくれると約束したじゃないか!
カロン:子供の頃の話だ。
ふぁきあ:みゅうとが心を取り戻している。プリンセスチュチュが現れたんだ。鴉も復活しつつある。あんたから聞かされていた言い伝えはすべて現実になっている!だとしたら俺は物語の中の騎士の生まれ変わり。
ヒル:ふぁきあが騎士の生まれ変わり?
ふぁきあ:騎士ならば、ローエングリンの剣を使ってもいいはずだな。
カロン:ふぁきあ…。もうみゅうとのことは放っておけ。
ふぁきあ:何だって?
カロン:この忌まわしい物語に、これ以上関わらない方がいい。
ふぁきあ:何故今更あんたがそれを言うんだ!…俺の両親が死んで、あんたの所に引き取られてきた日、言ったよな。

    • ふぁきあの回想。ふぁきあ、『王子と鴉』を読む。

カロン:お前のこれは、私たち一族に語り継がれた言い伝えそのままだな。きっとお前は強くなるぞ。王子を守り通した勇敢な騎士の生まれ変わりの証だ。
ふぁきあ:それは、いつしか俺の誇りになった。
ふぁきあ(幼少期):『王子は人々を守るためには自分が傷付くことを決して恐れませんでした。』ふーんすごいや。

    • ふぁきあの回想。ふぁきあとカロン、心臓を失くした王子を拾う。

ふぁきあ:そして…運命は突然動き出す。
ふぁきあ(幼少期):カロン! 心臓が動いてない。カロン…?
カロン:心臓を失くした王子? …ミュートス!

仮説:ふぁきあが『王子と鴉』を読むことによって、「王子」が金冠町に現れた。「王子」は「読者:ふぁきあ」の物語の王子であり、ふぁきあの読む物語の主人公。
だとしたら、ふぁきあが「王子」の剣を管理し、「王子」を支配下におくことも納得できる。
さらに、13話で「王子」が「プリンセスチュチュ」を選んだのは、「王子とチュチュが結ばれてほしい」と思う「読者:ふぁきあ」の読み手としての感情移入が反映された結果。
(本来、金冠町を覆う物語の正体は、るぅが王子と結ばれるための「結婚譚」だったというのが、私個人のこのお話の前提)
また、ふぁきあが「騎士の死」までしか物語を読み進むことができなかったのだとしたら、13話の「騎士の死」の場面をもって「ふぁきあが読んだ「王子」の物語」が終わりを告げ、雛の章の「王子」が「ふぁきあの王子」でなくなるのも、筋が通る。
「雛の章」から王子は別の(上の次元の。るぅの。)物語のものとなる。

    • カロン、ふぁきあの図星を突く。

ふぁきあ:俺はみゅうとを守る! それが約束だからな。
あひる:(みゅうとを守るって…でもじゃあ何故心臓を砕こうとしたの?)
カロン:お前のしている事はみゅうとのためなんかじゃない。自分のためだろう、ふぁきあ!やがて戦いの時が訪れて、自分が物語の騎士と同じ運命を辿る事が恐いんじゃないのか?
ふぁきあ:違う。
カロン:王子の心が戻らないように役立たず呼ばわりし続けたのも…。好きな踊りだけさせるために金冠学園に入れたのも、戦いを恐れたからだろう!
ふぁきあ:違う!
カロン:今のお前にみゅうとを守る事など出来ない!

    • カロン、ふぁきあに物語を伝えたことを悔いる。

物語は本当に動き始めていると…。しかし、私にはどうすればいいのかが分からない。ずっと…ふぁきあに言い伝えを話したことを悔やんでいた。今はふぁきあを傷付けたことを悔やんでいる。私はあの子に悔やむ事しかしてやれない。

仮説:「騎士の生まれ変わり」であるところのふぁきあの物語は、ふぁきあ(両親を失くした子供)にカロンが与えた物語である。なので、騎士の剣はカロンの管理下にあった。;

『王子と鴉』9話

    • ふぁきあ、『王子と鴉』の本を読もうとする。エデルとの接触

図書の者:また来たのかね、あの本を読みに。

『王子と鴉』の「あの本」はふぁきあの手元にはなく、図書の者(古本屋)にある。図書の者はふぁきあが「あの本」を読むことを咎めない。
仮説:『王子と鴉』には、「ドロッセルマイヤーが死んだ時点で絶筆(王子と鴉の戦いの途中まで?)した《市販本》」と、「今もまだ描き続けられている、金冠町の物語を記述する《原本》」と、「『王子と鴉』絶筆後、物語から鴉が飛び出し、それを王子が追いかけて封印して以降を記述した《あの本》」が存在し、《あの本》は複数のバージョンが存在する可能性。
金冠町では、「読み手」が「物語」を「読む」ことで、物語の人物やできごとが町に表れてしまう可能性。→ジゼルや、騎士も、誰かが読んだ本から現れた。

ふぁきあ:俺が一体何を恐れる必要がある。くだらん。王子とカラス。ここに書かれているのは、みゅうとの物語。すべての弱いものを守ろうとして自分を傷つけ、心臓まで失う王子の運命。

この本には、「心を失う王子」まで書かれている。

エデル:運命を受け入れる者に幸いあれ。
運命に逆らう者に、栄光あれ。
ふぁきあ:お前は……。
エデル:お話は続いている。
お話は生きている。
(真っ二つになる騎士の挿絵)
それだけだ。……う。これが、俺の運命だというのか。
エデル:あ……。かわいそうなのはるぅ?みゅうと?あひる?それとも?
(エデル回収。人形の糸が……)

仮説:ふぁきあは『王子と鴉』の物語を、騎士の死以降読み進められていない可能性。
エデルはふぁきあと接触したことにより回収された。

『王子と鴉』8話

    • ふぁきあ、王子の剣の封印を解く。

ドロッセルマイヤー:ほほう。それはかつて王子の心臓を砕いた王子自身の剣。それをどうするつもりかな?ふっふっふっふっふ。
ふぁきあ:(王子の心臓を砕き、邪悪な大鴉を滅ぼせしこの剣に、再び力を与えたまえ)

ふぁきあには「王子の剣」を自由に持ち出し、封印を解く力がある。