『王子と鴉』1話

    • アバン

昔々、一人の男が死にました。
男の仕事は、お話しを作って語る事でしたが、死には逆らえません。
男の最後のお話は、美しく勇敢な王子が悪賢い大鴉を退治するお話でした。
けれども、もう永遠に戦いの決着は付きません。
『こんなのはいやだ!』
大鴉は叫びました。
『こんなのはいやだ!』
勇敢な王子も叫びました。
大鴉はお話しの中から逃げ出して、王子もそれを追いかけました。
そして王子は自分の心臓を取り出し、禁断の力を使って大鴉を封じたのでした。
その時『これはいい…』死んだはずの男がどこからかつぶやきました。

男の死→『王子と鴉』の物語が途中で終わる。→鴉が飛び出す。→王子が追いかける。→王子が心臓を砕いて、鴉を封印する。→死んだ男が『これはいい…』と呟く。『王子と鴉』の物語に記述されている内容はどこまでなのか。