『王子と鴉』2話

    • アバン

昔々、一人の男が死にました。
男が語っていたお話は、美しく勇敢な王子が、悪賢い大鴉を退治するお話。

ドロッセルマイヤーが書いた『王子と鴉』は王子が飛び出す前まで。

男が死ぬと、大鴉と王子は、お話から飛び出しました。
王子は大鴉を封じるため、自分の心臓を取り出しましたが、それは、王子だけに与えられた禁断の力。
見事大鴉は封じられましたが、王子の心臓は欠片となって飛び散って、
町のあちらこちらに散らばってしまいました。
それからというもの、その町はお話と本当が混じり合い、不思議が不思議でない世界になりました。

私の名はドロッセルマイヤー。ははははっ。
心臓を失くした王子様を助けたいかね?
王子様は悪魔や大鴉と戦った勇者だ。私の書いたお話の中に居た時ぁね。
そう。彼はお話から出て、大鴉を封じる為に心臓を失った。
失った心臓は砕け、欠片となって彷徨っている。元に戻せるのはプリンセスチュチュだけ。