『王子と鴉』10話

ふぁきあ:剣はどこだ?
カロン:久々に帰ってきたというのに、挨拶もなしか。剣なら店にいくらでもある。
ふぁきあ:違う、あの剣だ。ローエングリンの剣だ。あれが必要なんだ。みゅうとを鴉から守らなければならない。
カロン:お前にはやれない。

騎士の剣はカロンの管理下にあり、ふぁきあが自由に持ち出すことができない。

ふぁきあ:なに?
カロン:あれは騎士が使うべき剣だ。
ふぁきあ:俺にくれると約束したじゃないか!
カロン:子供の頃の話だ。
ふぁきあ:みゅうとが心を取り戻している。プリンセスチュチュが現れたんだ。鴉も復活しつつある。あんたから聞かされていた言い伝えはすべて現実になっている!だとしたら俺は物語の中の騎士の生まれ変わり。
ヒル:ふぁきあが騎士の生まれ変わり?
ふぁきあ:騎士ならば、ローエングリンの剣を使ってもいいはずだな。
カロン:ふぁきあ…。もうみゅうとのことは放っておけ。
ふぁきあ:何だって?
カロン:この忌まわしい物語に、これ以上関わらない方がいい。
ふぁきあ:何故今更あんたがそれを言うんだ!…俺の両親が死んで、あんたの所に引き取られてきた日、言ったよな。

    • ふぁきあの回想。ふぁきあ、『王子と鴉』を読む。

カロン:お前のこれは、私たち一族に語り継がれた言い伝えそのままだな。きっとお前は強くなるぞ。王子を守り通した勇敢な騎士の生まれ変わりの証だ。
ふぁきあ:それは、いつしか俺の誇りになった。
ふぁきあ(幼少期):『王子は人々を守るためには自分が傷付くことを決して恐れませんでした。』ふーんすごいや。

    • ふぁきあの回想。ふぁきあとカロン、心臓を失くした王子を拾う。

ふぁきあ:そして…運命は突然動き出す。
ふぁきあ(幼少期):カロン! 心臓が動いてない。カロン…?
カロン:心臓を失くした王子? …ミュートス!

仮説:ふぁきあが『王子と鴉』を読むことによって、「王子」が金冠町に現れた。「王子」は「読者:ふぁきあ」の物語の王子であり、ふぁきあの読む物語の主人公。
だとしたら、ふぁきあが「王子」の剣を管理し、「王子」を支配下におくことも納得できる。
さらに、13話で「王子」が「プリンセスチュチュ」を選んだのは、「王子とチュチュが結ばれてほしい」と思う「読者:ふぁきあ」の読み手としての感情移入が反映された結果。
(本来、金冠町を覆う物語の正体は、るぅが王子と結ばれるための「結婚譚」だったというのが、私個人のこのお話の前提)
また、ふぁきあが「騎士の死」までしか物語を読み進むことができなかったのだとしたら、13話の「騎士の死」の場面をもって「ふぁきあが読んだ「王子」の物語」が終わりを告げ、雛の章の「王子」が「ふぁきあの王子」でなくなるのも、筋が通る。
「雛の章」から王子は別の(上の次元の。るぅの。)物語のものとなる。

    • カロン、ふぁきあの図星を突く。

ふぁきあ:俺はみゅうとを守る! それが約束だからな。
あひる:(みゅうとを守るって…でもじゃあ何故心臓を砕こうとしたの?)
カロン:お前のしている事はみゅうとのためなんかじゃない。自分のためだろう、ふぁきあ!やがて戦いの時が訪れて、自分が物語の騎士と同じ運命を辿る事が恐いんじゃないのか?
ふぁきあ:違う。
カロン:王子の心が戻らないように役立たず呼ばわりし続けたのも…。好きな踊りだけさせるために金冠学園に入れたのも、戦いを恐れたからだろう!
ふぁきあ:違う!
カロン:今のお前にみゅうとを守る事など出来ない!

    • カロン、ふぁきあに物語を伝えたことを悔いる。

物語は本当に動き始めていると…。しかし、私にはどうすればいいのかが分からない。ずっと…ふぁきあに言い伝えを話したことを悔やんでいた。今はふぁきあを傷付けたことを悔やんでいる。私はあの子に悔やむ事しかしてやれない。

仮説:「騎士の生まれ変わり」であるところのふぁきあの物語は、ふぁきあ(両親を失くした子供)にカロンが与えた物語である。なので、騎士の剣はカロンの管理下にあった。;